飼い主のマナーハンドブック(日本愛玩動物協会)
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飼い猫の放し飼いで損害賠償や慰謝料を請求されることも 「部屋に閉じ込めておくのはかわい16 ひと昔前なら猫の放し飼いはよく見かける光景でしたが、現代ではマナーの面でも猫の安全の面でも完全室内飼いが基本です。放し飼いにしてしまうと、他人の敷地内で排泄したり、車や家屋を傷つけてしまうなどの迷惑をかけることもあります。そう」という考えは誤りです。猫はなわばりをつくる動物ですが、広いなわばりが必要なわけではなく、室内で快適に暮らせればそれで満足できます。屋外は交通事故や感染症、迷子になるリスクがあるのを忘れないでください。外に出してしまうと屋外もなわばりの一部となり、何度も出たがるようになる場合があるので、初めから出さないようにしましょう。 猫は一年に数回発情期を迎えます。発情期には落ち着きがなくなり、異性を求めて逸走したがる傾向にあります。オスはメスを争ってケンカになり、その傷から猫免疫不全ウイルス(FIV)などに感染することもあります。ワクチンを接種していても100%予防できるわけではないため、安心はできません。こうした感染症は、一度感染・発症すると根治が難しい病気です。 窓の閉め忘れなどでうっかりメス猫に逸走されてしまい、帰って来たら身ごもっていたというケースもあ 逸走を防ぐには、右ページのような対策を施します。万が一、逸走してしまったときは、近くの茂みなどを隈なく探してください。屋外に出たことのない猫は、たいていの場合は遠くに行かず、近い場所でじっとしているものです。近隣の部屋のベランダなどにいることもあるので、迷い猫のチラシをつくってポストに投函したり、事情を話してチラシを渡しましょう。このようなときも、日頃のコミュニケーションがものをいいます。 逸走した愛猫を保護したら、協力してもらった方に報告とお礼をしましょう。また、猫は動物病院へ連れて行き、健康状態や寄生虫の駆除の必要性をチェックしてもらいます。ります。猫は交尾すれば高い確率で妊娠してしまいます。ほかにも、メスは発情期には大声で鳴き続けたりして、近隣に迷惑をかけることにもなりえます。また、オスはマーキングのための臭いオシッコ(スプレー)を部屋中にすることもあります。こうしたリスクを避けるためにも、不妊・去勢手術は有効です。 不妊・去勢手術には、生殖器の病気にかかりにくくなるなどのメリットもあります。一度、かかりつけの動物病院に相談してみてください。「動物の愛護及び管理に関する法律」(動物愛護管理法)に基づく基準では、「猫は屋内飼養に努めること」「自らが飼養及び保管する家庭動物等が公園、道路等公共の場所及び他人の土地、建物等を損壊し、またはふん尿その他の汚物、毛、羽毛等で汚すことのないよう努めること」と規定されています。これを守らずに猫を放し飼いにしていて、他人や他人の財産(車や家屋など)を傷つけたり汚したりすると、損害賠償や慰謝料を請求されることもあります。こうしたトラブルを招かないためにも、猫は室内飼いにしましょう。猫の安全のためにも室内飼いを徹底して繁殖の予定がなければ不妊・去勢手術をもし猫が逸走してしまったら、地域の警察や動物愛護管理センターに連絡を。飼い主が見つからない猫は数日で殺処分されてしまうこともあるため、必ず連絡を入れ、最悪の事態を防ぎましょうColumn猫を飼うための心得とマナー猫編室内飼いが基本。屋外はトラブルがつきもの

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