公益社団法人日本愛玩動物協会

ひよこ

ペットフレンドリーホームペットフレンドリーホーム

ペット共生住宅(ペットフレンドリーホーム)とは

●ペット共生住宅の歴史

「犬は庭の犬小屋で番犬として飼い、猫は出入り自由」という飼育形態が、かつての日本ではごく当たり前に見られたペット飼育の形態でした。小型犬を室内で飼うような例外は一部にあったものの、家の中はあくまでも人のための空間であり、ペットと一緒に暮らすところではありませんでした。ペットを飼う環境に大きな変化が起きたのは2003年。犬猫の飼育頭数が15歳以下の子どもの数を逆転したことが話題となった年です。この年に初めて、犬の室内飼育(46.2%)が屋外飼育(44.2%)を逆転したのです。室内飼いのニーズの高まりを背景に、2000年代に入ると、大手住宅メーカーがペットと暮らす家づくりの提案を商品として売り出すようになっていきました。ここから「ペットを飼う」から、人もペットも心地良い「ペットと暮らす」ためのペット共生住宅がより広く知られるようになりました。

●ペット共生マンションとペット可マンションとの違い

ペットを飼うことができる集合住宅は、「ペット可」「ペット共生」の大きく2つに分類することができます。明確な定義はありませんが、以下のように説明することができるでしょう。

  • ペット可
    ペット可

    一般に、単に「ペットを飼ってもよい」と認められているというだけのタイプです。このタイプで多いのは、空き室を解消するために「ペット可」を打ち出しているケースです。貸主側は必ずしも積極的にペット飼育を受け入れていない場合があります。「ペット共生」にみられるようなペット用の設備は少なく、ペット好きな方も嫌いな方も居住しているので、適切な飼育規約、飼育者の高い意識や相互理解がないと、トラブルが発生しやすくなります。

  • ペット共生
    ペット共生

    ペットを飼うことを目的として設計されているタイプで、飼育者だけでなく、飼っていない人も気持ちよく居住できることを目的としています。専有部分には傷つきにくい床材や掃除しやすい壁紙などが使われ、共有部分には足洗い場やリードフックなどペット用設備が設置されていることが多いようです。すべての居住者がペットに理解のあることが前提ですから安心感があり、また、しっかりとした飼育規約があるのが一般的なので、ペットトラブルは発生しにくいといえるでしょう。ペットの鳴き声が問題になる場合でも、ペット可マンションでは「うるさい」という苦情になりますが、ペット共生マンションだと「ずっと鳴いているけどワンちゃんは大丈夫?」と心配する声があがるなど、ペット可とペット共生では大きな違いがあるのです。

●ペット共生住宅:ペットフレンドリーホームが目指すもの

首都圏などで販売される新築分譲マンションのほぼ100%がペット可となり、かつ「マンション標準管理規約(国土交通省)」の大幅改正をきっかけに、「ペット可」という流れが急激に進行しました。賃貸マンションでもペットが飼える物件は多くなり、集合住宅でペットを飼えるのは珍しいことではなくなりました。しかし賃貸マンションでは、飼育が認められているのをいいことにルールやマナーを守らない飼い主が増え、それを敬遠して退去する飼い主がいるという問題が起きています。ペットに起因するトラブルの多さや退去後の修繕費などの問題もあり、「ペット可」をやめる管理会社やオーナーも出てきています。ただ「ペット可」にすればいいというわけではないのです。積極的にペットを受け入れるペット共生マンションなどの集合住宅では、飼い主もそうでない人も誰もが気持ち良くペットを受け入れることができる環境をつくるため、厳しい管理規約を設定したり、賃貸住宅においては入居審査、ペットの審査をしっかりと行う物件が増えつつあるようです。場合によってはペットがいると敷金・礼金が高くなるケースもあります。「人とペットが共生する社会」を実現するためには、ペットの飼い主に高い意識が求められていることを忘れてはならないでしょう。
また、一戸建て住宅であってもペットを自由に飼っていいのは屋内だけであり、鳴き声、悪臭などのトラブルは存在します。こうした背景 から、2010年2月、環境省は「住宅密集地における犬猫の適正飼養ガイドライン」を作成しています。

●ペット共生住宅の効用(ペット共生マンションを例として)

人やペット、また、マンションに携わる建設業界などに対して、ペット共生マンションがもたらす効用をご紹介します。

■ 居住者にとって
犬

防音対策や傷のつきにくい壁紙、ペットの足腰に負担をかけない床、ペットの足洗い場などの設備があらかじめ備わっているので、飼い主が用意する対策グッズが最小限ですみ、また近隣とのトラブルも起こりにくく、安心して暮らすことができます。

「ペットの飼い主」という共通の話題があることから、住人同士で知り合いになりやすく、困ったときに相談したり、留守中のペットの世話を頼んだりすることができるようなコミュニティが形成される傾向にあります。

ペットの飼い方に対して意識の高い飼い主が多く集まるので、マナーの悪い飼い主が少なく、無駄吠えや騒音、排泄などのトラブルが少ない傾向にあります。

ペットの足腰に負担をかけない床、空調管理、自然な建材の利用などの住まいの工夫は、結果的に人にも優しい環境づくりにつながります。

■ ペットにとって

ペットが暮らしやすいように作られているため、ペットも快適に過ごすことができます。

フローリングで足を滑らすことによる骨折や、電気コードを噛むことによる感電事故などを防ぐような工夫がされている物件もあるので、ペットも安心です。

猫
■ 地域にとって

ペットを飼っていない人(特に子ども)でも、ペットの姿を見たり、ときには触れ合ったりすることができる貴重な機会が得られることから、情操教育や心の癒しにも役立ちます。

■ 建設業界にとって

ペット共生マンションには高い需要があるため、分譲マンションの成約率向上や、賃貸マンションの空き室率低下が期待できます。

ペット共生マンションにすることにより付加価値が生まれます。

ペットの飼い主は、ペットのためにこまめな掃除や喚起に気を付けている方が多く、住環境が清潔に保たれます。

部屋

●ペットフレンドリーホーム宣言

人とペットが快適に楽しく暮らすためには、 住宅の設備や構造、入居のルールづくり、飼育マナーなどの普及啓発が図られなければなりません。 長年にわたってペットの適正飼養普及啓発に関わってきた公益社団法人 日本愛玩動物協会では、ペットと暮らす生活が 飼い主にとってもペットにとっても、また、ペットを飼っていない人にとっても豊かなものになることを願い、ペット共生マンションや住宅の関係者に対して「ペットフレンドリーホーム宣言」を呼びかけています。

もどる